デイケア志水2020-07-28
言語聴覚士の越田智子(もとこ)です。
私は、言葉が出てこない、言葉の意味を理解するのが難しい失語症の方、発音が上手く出来ない構音障害の方、
噛んで飲むことが難しくなってしまう嚥下障害の方、注意力や記憶力、思考力などを障害された方に対して、
訓練、助言などのご支援をさせて頂いています。
失語症の方の中には、発症10年以上の方もいらっしゃいます。
何年もコツコツと丁寧にリハビリに取り組まれるお姿に、私自身がいつも元気を頂きます。
構音訓練では、口の動きを意識して、声の出し方を工夫して話す練習をします。
思ったように声が出ないことも多いのですが、会話は止まりません。
言葉が歪んでも相手に自分の気持ちを伝えたい、という強いお気持ちを感じます。
嚥下訓練では、ムセたらムセを止めようとせず、ムセがおさまるまでムセた後、
唾液を飲み込むことをお願いしています。お口から好きなものを少しでも食べたい、食べ続けたい、
という当たり前にしていたことを取り戻すために、必死に頑張っておられます。
(並食)
(ミキサー食)
リハビリをして自分で出来ることを増やしたい、と誰もが持つ望みです。
しかし、病院とは違い、長い月日の通所の間に、体や心の面にいろいろな変化があります。
そのような状態で、機能を維持することの方が、とても大事であると強く思うことがあります。
失語症を発症して長い方々が、「ありがとう。」という言葉を繰り返し言われます。
他の発語が上手く言えず、その言葉を繰り返し言う失語症状の一つですが、症状だけとして捉えず、
その感謝の言葉は、周りを和ませて下さいます。
その時、ご本人様もその気持ちでおられ、お互いが感謝の気持ちになれます。
現在も、ずっと維持ができるように願って、訓練を続けています。